未聴LPを消化

  • シャポーリン:歌劇「デカブリースト」 メーリク=パシャーエフ/ボリショイ劇場O他 (Ultraphone ULP 123/126 [LP])
  • スヴィリードフ:「ペテルブルグの歌」より第2曲「Как прощались, страстно клялись」、「ブロークの詩による3つの歌」、「私の父は農夫」より第2曲「В сердце светит Русь」、「ロシアの歌」、「A. プロコーフィエフの詩による6つの歌」より第5曲「Девчонка пела золотая」、チャイコーフスキイ:カンタータ「モスクワ」よりWarrior's Arioso、ムーソルグスキイ:歌劇「ボリース・ゴドゥノーフ」よりマリーナのアリア、歌劇「ホヴァーンシチナ」よりマールファのアリア、サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」よりデリラのアリア、ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」よりエーボリ公女のアリア オブラスツォーヴァ (MS) スヴィリードフ (Pf) エールムレル、ディミトリアディ/ボリショイ劇場O (Melodiya 33 C10-11346-C10-12308 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番、バルトーク:ルーマニア民俗舞曲、カステレード:弦楽オーケストラのための前奏曲とフーガ メルレ (Pf) シェルバウム (Tp) クエンツ/パリ・ポール・クエンツ室内O (Club National du Disque P.94 [LP])
  • ヘンデル:合奏協奏曲 Op.6-1、モーツァルト:ディヴェルティメント KV136、バルトーク:ルーマニア民俗舞曲、パラチェ:弦楽のための音楽、ルホットカ:スケルツォ=アレグロ、ショスタコーヴィチ:弦楽八重奏のための2つの小品よりスケルツォ ザグレブ・ゾリステン (Südwestfunk SWF 131 [LP])
  • チャイコーフスキイ:弦楽セレナード、ショスタコーヴィチ(バルシャイ編):室内交響曲 ラフレフスキイ/新アメリカ室内O (Obligat ob. 01.109 [LP])
  • チャイコーフスキイ:「祝福あれ、森よ」Op.47-5、グリーンカ:「疑惑」、ダルゴムィーシスキイ:「老伍長」、ラフマニノフ:「小作農奴」Op.34-11、ショスタコーヴィチ:「プーシキンの詩による4つのモノローグ」より「絶望の日」、ムーソルグスキイ:「死の歌と踊り」、「蚤の歌」 ギウセレフ (B) ムッセフ (Pf) (Balkanton BKA 11951 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:「ユダヤの民族詩より」より第3曲「子守歌」、プーランク:「8つのポーランドの歌」より第8曲「湖」、ドヴォルザーク:「聖書の歌」より第3、8曲、バルトーク:「5つの歌」より第1曲「三粒の秋の涙」、ムーソルグスキイ:夜 ウイッカム (S) ラスキエ (Pf) (私家盤 FW 53.19.32 [LP])
  • メキシコ合衆国国歌、ショスタコーヴィチ:祝典序曲、ネリベル:ヒューストン協奏曲、リームスキイ=コールサコフ:スペイン奇想曲、メキシコ民謡メドレー、ドヴォルザーク:交響曲第8番 ランツ、ネリベル/ヒューストン全市SO (Silver Crest HL-111767A [LP])
  • モーツァルト:セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より第4楽章、ホフステッター(伝ハイドン):弦楽四重奏曲「セレナード」より第2楽章、ロカテッリ:「ヴァイオリンの技法」より、ブラームス:交響曲第3番より第3楽章、ビゼー:歌劇「カルメン」よりハバネラ、ショスタコーヴィチ:映画音楽「馬あぶ」よりロマンス、モーツァルト:交響曲第40番より第1楽章、ボッケリーニ:弦楽五重奏曲 Op.11-5より第3楽章、シューベルト:劇音楽「ロザムンデ」より、ヴァン・ダイク:ベルディナリー ステンベルグ (Fl) ファン・ホフ/管弦楽団 (Philips 822 667-1 [LP])
  • ミャスコースキイ:交響曲第21番 ラフリン/ソヴィエト国立SO (Апрелевский завод 10903-10911 [10"78 rpm.])
LPプレイヤーの不調を半年近く放置していたせいで、未聴の音盤が溜まってしまった。先日、重い腰を上げてようやく修理してもらい、年末年始は専ら未聴盤の消化に勤しむことに。以下、全てArs Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.にて購入。

シャポーリンの代表作である歌劇「デカブリースト」は、あらすじ等が書かれた解説もなく、A. トルストイの原作『パウリーネ・ガイベル』も読んだことはないために、デカブリーストの乱に関する話なのだろうと推測する以外に劇の内容は全くわからないまま、単に音楽だけを聴かざるを得なかった。

元々はデカブリーストの乱100周年の1925年に着手されたものの、全曲の完成・初演は1953年とかなりの時間がかかった背景には、そもそもが政治的な題材であることに加え、その間にプラウダ批判、ジダーノフ批判といった音楽分野に対する思想統制事件が起こったことも少なからず影響しているのだろう。『ロシア音楽事典』(カワイ出版, 2006)によると「19世紀初めの軍歌や学生歌が引用される他、様々な社会階層が音楽で描き分けられる。」とのことで、社会主義リアリズムの典型的な音楽作品であると同時に、その最良の成果でもあるように感じられる。現在では「兵士の合唱」(第2幕第3場」がアレクサーンドロフ・アンサンブル(いわゆる赤軍合唱団)のレパートリー(B. アレクサーンドロフ編)に入っている以外に全曲が取り上げられることはないが、気分が鼓舞されるような壮麗な音楽と、親しみやすく哀愁に満ちたロシア風のメロディとのバランスが良く、完全に忘れ去ってしまうには惜しい作品である。

(恐らく)唯一の全曲盤である本盤は、野趣溢れる響きと盛り上がりに血沸き肉躍る、“ソ連”を堪能させてくれる秀演といってよいだろう。


オブラスツォーヴァのアルバムは、A面のスヴィリードフ作品集目当てだったが、B面のアリア集も出色の内容で、嬉しい誤算。また、チャイコーフスキイのカンタータ「モスクワ」については、皇帝の戴冠式のために作られた作品ということもあってソ連時代には歌詞が改竄されたのだが(「1812年」と同様)、本盤では、まさにその改竄版で歌われている。B面を通してオーケストラの音量レベルが小さすぎるのが残念だが、彼女の鋭く、それでいて甘い歌い回しの魅力を存分に味わうことができる。

スヴィリードフの作品については、今さら何かを言う必要はない。いずれの曲も見事な歌唱で、スヴィリードフの真髄が表現され尽くされていると言っても過言ではない、決定的なライヴ録音である。


クエンツ室内Oの弦楽合奏曲集は、もちろんショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番目的で注文したもの。しかしながら、トランペットの不安定さが許容範囲を超えていて、残念ながら全く楽しむことができなかった。ピアノは平凡ながらも、手堅い演奏。弦楽合奏についてはアンサンブルの精度などに時代を感じる部分もあるが、無難にまとめられていて印象は悪くない。カステレードの作品は、バルトークに通じる近代的な和声感を持ちつつも全体として穏健な擬古典的な雰囲気の音楽。決して悪くはないのだが、私にはあまりピンと来なかった。


ザグレブ・ゾリステンのアルバムもまた同じく弦楽合奏曲集だが、やはり同じく今となっては古いタイプのアンサンブルながら、こちらは垢抜けなくも朗々と気持ちの良い歌がとても心地よい。B面のバルトークなど東欧の近現代作品でもA面のヘンデルやモーツァルトと同じアプローチが採られているが、わりと穏健な曲ばかりであるせいか、特に違和感はない。ショスタコーヴィチではさすがにアンサンブルの甘さが気にならなくもないが、一体感のある盛り上がりがそれを補って余りある。


これらに対して、ロシアの弦楽合奏曲集としては極めて王道の2曲が収められているラフレフスキイ率いる新アメリカ室内Oのアルバムでは、現代を予感させる洗練されたアンサンブルが展開されている。表面的な甘さに耽溺しないチャイコーフスキイや緻密に組み立てられたショスタコーヴィチは、当時(1987年)としては先駆的な演奏だったのだろうと思われる。ただ、団体の個性と言えなくもないが、低弦の響きに薄さが感じられるのは残念。これらの曲に対しては、やはり心を底から揺さぶるような厚い響きを求めたくなる。


ギウセレフのロシア歌曲集は、ロマンス色の強いA面とムーソルグスキイ作品のB面、どちらも選曲がなかなか素敵。特にA面は、どこか軽いテイストを感じさせるギウセレフの歌との相性が良く、万人受けする音楽に仕上がっている。しかしながら、「死の歌と踊り」のように深く沈潜した音楽世界を表出するには物足りない。これは、ピアノの表現力も一因であろう。


同じ歌曲でも、「中央ヨーロッパの音楽」と題されたアルバムは、いかにも素人くさい不安定極まりない歌唱で、全く楽しめなかった。フレデリク・ウイッカムという歌手のことは全くわからないが、プライヴェート盤(45回転の12インチ)の装丁などを見ても商業的な背景があるようには思えず、それでいて選曲は妙に凝っているのが不思議。


注文カタログを「Shostakoivch」で検索すると未知の音盤がヒットした。それがヒューストン市の学生選抜オーケストラが1967年にメキシコ・ツアーをした時の記念アルバム。収録日などのデータははっきりしていないが、曲の終わりの処理からすると拍手を無理やりフェードアウトしているようなので、恐らくは当日のライヴ録音なのだろう。率直に言って、時代も国も違う、縁もゆかりもない聴き手にとっては、演奏技術のみならず音楽的な水準においても一般的な聴取に耐えるものではない。

ただ一点、この公演のためにネリベルが作曲した作品がネリベル自身の指揮で収録されていることは、ネリベル愛好家には関心があるかもしれない。この公演についてネリベル自身がコメントしているインタビューの邦訳が、このサイトにあるので、参考まで。


ポール・モーリアと共演した「天使のメヌエット」などで知られるフルート奏者ベルディーン・ステンベルグのアルバムは、自身に捧げられた「ベルディナリー」という曲をタイトルにしたもの。いわゆるイージーリスニングの類で、ショスタコーヴィチの「馬あぶ」のロマンス(のアレンジ)が収められているがゆえに入手したものの、ほとんど興味を惹かれない内容であった。ちなみに、本盤のジャケットでは「馬あぶ」のロマンスは、イギリスで放送されたTVドラマ「Reilly, Ace of Spies」の主題曲としてクレジットされている。


ラーフリン指揮のミャスコースキイの交響曲第21番は、SP盤。興味はあるものの、手元に再生環境はないので、いつか機会があるまでとりあえず棚の中。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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