実家のLP

  • ブラームス:ハンガリー舞曲集第5、6、7、12、13、19、21、1番、ドヴォルザーク:スラブ舞曲集第1、3、8、10、9番 ライナー/ウィーンPO (London SLC 1035 [LP])
  • サラサーテ:カルメン幻想曲、ツィゴイネルワイゼン、サン=サーンス:ハバネラ、序奏とロンド・カプリチオーソ リッチ (Vn) ガンバ/ロンドンSO (London SLC 1039 [LP])
  • シューベルト:交響曲第5&7(8)番 カラヤン/ベルリンPO (EMI EAC-55053 [LP])
  • ヴィヴァルディ:合奏協奏曲「四季」、パッヘルベル:カノン アルマン (Vn) オーリアコンブ/トゥールーズCO (EMI EAC-55007 [LP])
  • J. S. バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2&1番、2つのヴァイオリンのための協奏曲、管弦楽組曲第3番よりアリア シェリング、アッソン (Vn) マリナー/アカデミーCO (Philips 18PC-5501 [LP])
  • モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第2番、ハイドン:ヴァイオリン協奏曲第1番 ファン・クーレン (Vn) ロス=マルバ/オランダCO (Philips 25PC-5161 [LP])
  • “ツィゴイネルワイゼン”決定盤・ヴァイオリン名曲集 (RCA RMF-2555~56 [LP])
先月、所用で札幌に出張した際に立ち寄った実家で、プレイヤーが使えなくなって以来20年以上死蔵されていたLPの一部を、目に付いたところから適当に選んで持ち帰ってみた。

ライナー/ウィーンPOのハンガリー舞曲集は、小学生の頃から頻繁に針を落とした一枚。盤面が明らかに擦り減っていて、しかも瑕だらけながら、針飛びもなく思ったより良い音がしたのが嬉しい。

ぎりぎりと締め上げられたような凄みのある第5番の冒頭を聴いただけで、20年振りにもかかわらず、アルバムの全てが一瞬にして脳裏に蘇る。改めて冷静に聴いてみると、このただ事ならぬ鋭利さは極めて異端の演奏には違いないのだろうが、その後聴いたどの演奏にも感じていた微妙な違和感のようなものがこの演奏にはなく、全てにおいて納得できてしまう。これぞまさに刷り込み。


ルッジェーロ・リッチのヴァイオリン名曲集も、擦り減る程度には繰り返し聴いたレコードである。現在の水準からすると細部の精度は随分といい加減なものだが、曲芸的なあざとくも愉しい雰囲気と、臆面もない歌謡的な歌心は、今となっては失われてしまった旧き佳き時代の名人芸に他ならない。ライナーといいリッチといい(他にバルシャイ/モスクワ室内Oの「四季」など)、こういう強烈な表現意欲に貫かれた濃口の音楽が自分の原体験となって現在の音楽的な嗜好が形成されていることを再確認した次第。


カラヤンのシューベルトは、高校生の頃に第5番を弾いたことがあって、その際に購入したような記憶がある。廉価盤しか手の出なかった学生にとって、「カラヤン」の名はそれだけで水準以上の内容を保証してくれる時代だった。もっとも、その録音に対する評論家の酷評ももれなくセットであったが、それもまた楽しかったものだ。このシューベルトは1970年代後半の録音だが、大編成のオーケストラによる地鳴りのするような重厚な響きと、徹頭徹尾ロマンチックな歌に溢れた、カラヤンの典型のような演奏である。これを現代の視点で批判することは容易だろうが、この音楽が持つ妖しい魅力を否定することはそう簡単にはできない。


私にとっての「四季」といえば、一も二もなくバルシャイ/モスクワ室内Oなのだが、たぶん、それではいけないと思って違う演奏を買ってみたのがオーリアコンブ盤だったのだと思う。なぜこの団体を選んだのかは忘却の彼方だが、一聴して「なんか変な演奏」だと思い、その後ほぼ全く聴かなかったことは覚えている。今回改めて聴いてみて、やはり非常に個性的な演奏であることを再確認した。具体的に表現することができないのだが、「おフランスの演奏」という漠然としたイメージが実にしっくりくる。また、楽譜の版が違うのか、あるいはオーリアコンブが手を入れているのかはわからないが、「夏」の第3楽章など、聴き慣れない箇所もある。イ・ムジチ的なヴィヴァルディとは全く違う世界なので、戸惑ってしまうのは事実。ただ、アンサンブルの精度は高く、かつ隅々まで音楽的であることは特筆すべきだろう。どこか静謐さを感じさせるパッヘルベルのカノンも含めて、異端ではあるのだろうが忘れられてしまうには惜しい演奏である。


シェリングのバッハは、もしかしたら弟が買ったものかもしれない。聴いた記憶が全くない。いわゆる「定盤」の類なのだろうが、今となるとかなり前時代的な、ロマンチックに過ぎる演奏ではある。それでもなお、品の良い節度が保たれているのはいかにもシェリングらしいのだが、それを物足りないと思ってしまうのは、私自身の嗜好が偏ってるということなのだろう。


ファン・クーレンのデビュー・アルバムも、弟がハイドンの協奏曲を習っていた時に買った一枚だと思われる。まだ10代の“天才少女”というアイドル的な扱いだっただろうことはジャケットの雰囲気からも窺えるが、A面のモーツァルトを聴く限りは、技術的な問題はないものの、まだまだ子供の音楽という感は否めない。ところがB面のハイドンでは一変して溌剌とした活力が漲る、骨太な熱い音楽が繰り広げられる。グリュミオーの老獪な演奏とは対極にあるが、聴いた後の爽快感は圧倒的にファン・クーレンの方が上で、それがまたこの協奏曲には相応しいように思える。


最後に、どういう経緯だったのかは覚えていないが、親が買ってきた「ヴァイオリン名曲集」。内容は以下の通り:
【Disc 1:フリードマン (Vn)】
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン(サージェント/ロンドンSO)
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ(ヘンドル/シカゴSO)
サン=サーンス:ハバネラ(サージェント/ロンドンSO)
ディニーク(ハイフェッツ編):ホラ・スタッカート(B. スミス (Pf))
タルティーニ(フランチェスカッティ編):コレッリの主題による変奏曲(B. スミス (Pf))
チャイコーフスキイ:憂うつなセレナード(B. スミス (Pf))
リームスキイ=コールサコフ(ハイフェッツ編):くまばちは飛ぶ(B. スミス (Pf))
クライスラー:ポルポラのスタイルによるメヌエット(B. スミス (Pf))
モーツァルト:ロンド C-dur(B. スミス (Pf))
ファリャ(クライスラー編):スペイン舞曲(B. スミス (Pf))
【Disc 2:アッカルド (Vn)】
J. S. バッハ(ウィルヘルミ編):G線上のアリア(ベルトラーミ (Pf))
サラサーテ:サパテアード(ベルトラーミ (Pf))
パガニーニ:24のカプリースより第13番
ノヴァーチェク(ダヴィソン編):常動曲(ベルトラーミ (Pf))
ポルディーニ(クライスラー編):踊る人形(ベルトラーミ (Pf))
パガニーニ:24のカプリースより第24番
ヴィエニャフスキ:スケルツォ・タランテラ(ベルトラーミ (Pf))
ヴィターリ:シャコンヌ(ベルトラーミ (Pf))
バッジーニ:妖精の踊り(ベルトラーミ (Pf))
パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第2番より第3楽章(ボンコンパーニ/ローマPO)
文字通りの「名曲集」で、こういった類のアルバムは、今に至るまで私が自分で買ったことはない(おかげで、子供の「お手本」となるような音盤がなく、一曲毎に選択する羽目になる)。今思えば、これで満足していたから、それ以上を求める気にならなかったということなのかもしれない。名曲集としては必要にして十分な選曲だろう。

ハイフェッツの愛弟子エリック・フリードマンの演奏は、派手な聴き映えのする系統のものだが、ボウイングが滅法荒く、私は全く好まない。一方のアッカルドは、“パガニーニ弾き”として鳴らしていた時代の録音ということもあってか、最良の意味でのヴィルトゥオージックな輝かしさを持った、愉しく気持ちの良い演奏である。

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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