パスキエ・トリオのモーツァルト

  • ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集 メロスQ (DG 415 676-2)
  • ブラームス:交響曲第4番、チャイコーフスキイ:交響曲第5番、ショスタコーヴィチ:交響曲第5&8番 ムラヴィーンスキイ/レニングラードPO (Dreamlife DLVC-1111[DVD])
  • スヴィリードフ:吹雪、プーシキンの花束 フェドセーエフ/モスクワ放送SO、ミーニン/モスクワ室内合唱団 (Melodiya MEL CD 1000214)
  • モーツァルト:弦楽三重奏のためのディヴェルティメント パスキエ・トリオ (Erato WPCS-22082)
ccd MLの室内楽談義は、ひょんなことから録音の良し悪しの話にシフトしてしまった。ここは、誰かが「悪い」とか「気に入らない」「どこが良いのかわからない」というと、全体が徹底的にその音盤を叩きまくる傾向がある。買った音盤がはずれなのは確かに不愉快だろうが、そんなことを議論してもあまり実りがないと思うんだけどね。「世評の高い演奏ですが…」という枕詞は、自分の鑑賞能力を暗に自慢しているのかもしれないが、もっと素直に「これは良いですよ」「こういうのがお好きでしたら、こんなディスクも良いのでは?」なんて話ができないものだろうかと思う。

そんなことはともかく、MLの話の過程でメロスQのベートーヴェン全集が話題になっていたので、久しぶりに棚から出してみた。ある時期、フィッツウィリアムQが解散する前にDeccaレーベルに録音した第13番と第15番と並んで、“新時代のベートーヴェン演奏”などともてはやされていた記憶がある。まぁ、確かに演奏の様式が時代とともに移り変わっていっていることはわかるが、これがそれほどまでにエポックメイキングな演奏だとは思えない。とはいえ、これはなかなか良い演奏だ。10年ほど前に第2、11、15番というオール・ベートーヴェン・プログラムでメロスQを聴いたことがあるが(いずみホール)、技術的な切れ味はそれほどではないものの、実に良く溶け合ったまろやかな音色と、おおらかな歌心が魅力的な団体だという印象を持った。その印象は、このセットを聴いても変わらない。現在入手難らしいが、一聴の価値あるセットだと言えるだろう。

先月の末に購入していらい、なかなか観る時間がとれなかったムラヴィーンスキイのDVD、まずはブラームスとチャイコーフスキイが収録されている1枚目だけをようやく視聴する。ブラームスは、大分前に日本ムラヴィンスキー協会が会員にのみ配布したヴィデオに収録されていたが、リハーサル部分に字幕がついていることと、インタビュー部分がなかったこともあり、改めて興味深く観た。「音楽解釈に正しいとか間違っているとかいうことはない。どれだけ説得力があるかどうかだ」というムラヴィーンスキイの言葉は、別のDVDの中でも同じようなことを言っていたが、まさに至言だと思う。密度の高いリハーサルを経た本番の演奏は、言うまでもなく説得力に満ちている。

昨晩、帰宅途中でTOWER RECORDS梅田店に寄った。改装したという話は聞いていたが、なかなか立ち寄ることができなかった。クラシックの売り場面積が激減したという話だったが、確かにその通り。でも、思っていたよりは品数もあって一安心。売り場の配列に慣れずどこを探せばよいのか戸惑ったが、とりあえず3枚購入。今日はその中から2枚を聴いた。

スヴィリードフ作品集には、フェドセーエフ1回目の録音である「吹雪」が収録されている。4回目の録音が素晴らしい出来なのだが、好きな曲なので是非とも入手したかったもの。実は、LP(Melodiya C10 06383 009)で持っているのだが、これはなぜか第8&9曲が欠落している。収録時間の関係で、主題が繰り返し用いられている2曲がカットされたのかもしれないが、これは大きな不満。この度、念願叶ってついに全曲を聴くことができた。表現の幅や深みには欠けるが、若々しいオーケストラの響きはなかなか魅力的。特に威勢の良い金管の輝かしさは、1970年代のモスクワ放送響ならではのもの。併録の「プーシキンの花束」も素敵な曲。ミーニン合唱団の卓越した演奏が楽しめる。

「エラート・アニヴァーサリー50」は、僕にとっては興味のあるラインナップではなかったが、唯一パスキエ・トリオによるモーツァルトのディヴェルティメントだけは逃すわけにいかない。僕にとってパスキエといえば、やはりレジスとブルーノになるわけだが、大学3回生の時にフォーレのピアノ三重奏曲を演奏する際、エラート盤LPで初めて聴いた彼らの親世代のパスキエ兄弟の素晴らしさを知って以来、この演奏だけは是非聴きたいと思っていた。中古LPも全くといって良いほど見かけることがなく、あっても高価であるために、今日まで耳にすることができなかった。演奏は、まさに期待通り。音色のブレンド具合、自然な音楽の息遣い、いずれも大変素晴らしい。音楽的なバランスの良さは理想的。まさに、名曲の名演。
スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Mravinsky,E.A. 作曲家_Sviridov,G.V. 作曲家_Mozart,W.A.

comment

Secre

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター