FC2ブログ

年始の視聴録

  • ドキュメンタリー『ショルティ/メイキング・オブ・マエストロ』、ベートーヴェン:交響曲第1番、シューベルト:交響曲第6&7番、ショスタコーヴィチ:交響曲第9番、チャイコーフスキイ/交響曲第6番 ショルティ/シカゴSO、バイエルン放送SO (EuroArts 2087898 [DVD])
  • 玉木宏 音楽サスペンス紀行~ショスタコーヴィチ 死の街を照らした交響曲第7番(録画 [NHK BSプレミアム(2019.1.2)])
  • スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2&6番、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第10番 ユジャ・ワン (Pf) ヴェンゲーロフ (Vn) パピアン (Pf) (2013.4.17/2013.6.12 録画 [NHK BSプレミアム])
  • モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番より第3楽章、ベートーヴェン:七重奏曲 チュマチェンコ (Vn) 鈴木学 (Va) 中木健二 (Vc) 池松宏 (Cb) 斎藤雄介 (Cl) 福士マリ子 (Fg) 福川伸陽 (Hr) 菊池洋子 (Pf) (2015.4.27 録画 [NHK BSプレミアム])
  • N響 伝説の名演奏~リクエスト特集~(チャイコーフスキイ:交響曲第5番、ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」より、ベートーヴェン:交響曲第7番 スヴェトラーノフ、シルヴェストリ、サヴァリッシュ/NHK SO (1997.9.6/1964.4.5/2004.11.3 録画 [NHK ETV(2018.12.23)])
  • 弦楽四重奏で楽しむジャズ(Footprints、Milestones、Ana Maria、Nature Boy) エベーヌQ (2017.10.10 録画 [NHK ETV(2019.1.20)])
  • スヴィリードフ:「吹雪」、スクリャービン:ピアノ協奏曲、練習曲 Op.8-12、グラズノーフ:交響曲第7番 コロベイニコフ (Pf) ヴェデールニコフ/NHK SO (2018.12.1 録画 [NHK ETV(2019.2.3)])
  • 札幌交響楽団 アルプス交響曲 (2018 録画 [BS朝日(2019.1.5)])
2月も終わろうかというタイミングで“年始”というのも間抜けだが、1月中に視聴した録画等をまとめておく。

まずはアリアCDから届いた「ショルティ生誕100年記念ボックス」。ショルティは1912年の生まれなので随分前のリリースになるが、ボックスというよりは、ショスタコーヴィチの交響曲第9番を収録したDVD目当ての購入である。この映像自体はかなり以前からチェックしていたが、なぜかPAL形式の物しか見当たらなかった。特に強く観たいわけではない映像も含まれているものの、この機会を逃さぬようオーダー。

まずはショスタコーヴィチとチャイコーフスキイの1枚(Disc 3)から。これは1990年にミュンヘンのガスタイク・フィルハーモニーでバイエルン放送交響楽団を指揮したもの。観ているだけで疲れてしまうようなショルティの精力的な棒さばきはいつも通り。ショスタコーヴィチは第2楽章がいささかせわしないものの、その他は抜群のスピード感で一気呵成に聴かせる。チャイコーフスキイも同様で、一切の妥協なく剛毅に突き進むショルティの音楽は「悲愴」としては異端の部類かもしれないが、第3楽章から第4楽章への接続など、独特の説得力を持っている。

Disc 1のドキュメンタリーは、ショルティ最晩年の音楽活動を記録したもの。過去の映像も適宜挿入されるが、容姿こそ老人のそれであるが、指揮ぶりや音楽に対する熱意などに年齢を全く感じないのには驚かされる。史料として取り立てて貴重なものではないが、音楽家ショルティの魅力を再確認させてくれる魅力的な映像作品である。

このボックスで最も興味深かったのは、注文時には特に気にも留めていなかったシカゴ響との1970年代の映像(Disc 2)であった。ショルティの音楽的な志向はここでも変わりないが、シカゴ響の極めて高度な合奏能力と、ショルティの意図を的確に音化するパートナーシップには、ただひたすら驚嘆するしかない。当時の常識的な演奏からすると、シューベルトにしては鋭利過ぎる響きが耳につくものの、ピリオド楽器による演奏に慣れた現代の耳にはむしろ違和感がないのが面白い。


年始早々インフルエンザに罹患してしまい、寝込んでいる内に「玉木宏 音楽サスペンス紀行」を録画しそこなったのは痛恨の極み。知人のご厚意でとりあえず観ることはできた。

これは2017年3月25日にBSフジで放送されたドキュメンタリー「レニングラード 女神が奏でた交響曲」(2018年3月30日のエントリー)と同様の、第二次大戦(大祖国戦争)時のレニングラード包囲戦とショスタコーヴィチの交響曲第7番とを題材とした番組である。アメリカでの西側初演を巡るスパイ映画まがいの経緯をクローズアップしていたのは面白かったが、新たな史実の類はないので、ショスタコーヴィチ・ファンの多くにとっては狂喜乱舞するほどの内容ではない。しかしながら、丁寧な取材に基づいた映像の訴求力は強く、当時の聴衆が受けた感銘の一片にしか過ぎないにせよ、交響曲第7番を特別な作品と見做すに足る思い入れを視聴者に与えてくれる。ただ、特に第1楽章に「(スターリンを含む)悪の表象」を聴き取ることに敢えて異論はないが、たとえば第3楽章などは純粋に愛国的な感情の発露と取る方が自然で、その点についての掘り下げがもう少しあってもよかったような気はする。玉木宏は声も姿も格好良かったが、番組を通してかけていたショスタコーヴィチ風の眼鏡は、ちょっと微妙だったかも。

上記ドキュメンタリーのついでに、クラシック倶楽部の過去の録画も見せていただいた。ユジャ・ワンのスクリャービンは、やや健康的な感じはするものの、表現の多彩さとスケールの大きさが格別。ヴェンゲーロフのベートーヴェンは、ただひたすらに美しい。名教師として知られるチュマチェンコと日本の若手奏者達による室内楽は、チュマチェンコの安定した貫禄の弾きぶりに目を奪われた。さすがにベートーヴェンのスケルツォ楽章では無傷というわけにはいかないが、全曲に渡ってこれぞ室内楽という細やかな気配りが行き届いたアンサンブルは、寛いだ愉悦感に満ちていて聴き応えがあった。

クラシック音楽館で年末に放送された「N響 伝説の名演奏」では、断片ではあったがシルヴェストリの「新世界より」というお宝映像が流れた。ルーマニア放送響とのショスタコーヴィチの交響曲第10番(Electrecord)に聴かれる異様な興奮がどのように導き出されていたのか、その片鱗を窺うことができた。使用スコアがポケットスコアであったのも興味深かった。スヴェトラーノフのチャイコーフスキイ、サヴァリッシュとの最後の共演は、これまでにも何度か放送されている。

本編のNHK交響楽団第1899回定期公演には関心がなかったのだが、その後の「コンサート・プラス」で取り上げられたエベーヌQによるジャズのスタンダード集だけはしっかりと録画。ヴィオラがヘルツォクからシレムに交代して以降のこの団体を聴くのは、恥ずかしながらこれが初めて。視覚的にも強烈な個性を放っていたヘルツォクに比べるとインパクトという点では劣るが、弦楽四重奏のヴィオラとしては十二分にバランスのとれた存在感があり、弦楽四重奏団としてのクォリティを高い水準で維持し、発展し続けていることに感心した。それにしても彼らの編曲は、どれをとっても非常にセンスが良い。楽譜に記してあることをただ弾くだけで彼らの演奏を再現できるわけではないことを理解しつつも、いつかまとめて出版されることを強く強く望みたい。

年始…ではなく2月の放送だが、NHK交響楽団第1900回定期公演はロシアの秘曲集といったプログラムで、要保存の内容。スヴィリードフの「吹雪」は知る人ぞ知る作品だが、まさか実演で取り上げられるとは思ってもみなかった。フェドセーエフ/ウィーン響やスヴェトラーノフ/ソビエト国立響の演奏で数曲の映像を観たことはあるが、全曲の映像というのはロシア以外では極めて珍しいのではないだろうか。フェドセーエフの4種類の録音に親しんだ耳にはあまりにも無味無臭に感じられるが、作品の旋律美は十分に表出されており、この曲を知らない聴衆に訴えかけるところは大だったに違いない。コロベイニコフをソリストに迎えたスクリャービンの協奏曲は、オーケストラも一体となって繰り広げられるロシア風の不健全さに満ち満ちた音響世界が素晴らしい、雰囲気豊かな名演。アンコールでも、気取った上っ面では隠し切れない野性的な体臭が漂ってくるような音の奔流に惹きつけられた。グラズノーフの交響曲第7番は立派な演奏ではあるが、作品自体がいささか焦点の定まらない音楽であるだけに、指揮者の手堅さは伝わったものの、オーケストラの魅力が十分に引き出されたとは言い難い。

北海道では年末(12月22日)に放送された、マティアス・バーメルト氏の札響の新首席指揮者就任を記念してのドキュメンタリーが、年始にBSで放送された。リハーサル中心の構成ながらも、深い音楽ファンには物足りない程度の掘り下げではあったが、それでもウィンドマシンのくだりなど、この種のドキュメンタリーとしては満足な内容。私が札幌の厚生年金会館や市民会館、そして道庁前のグリーンコンサートなどに足を運んでいた岩城宏之氏の時代とは、色々と隔世の感がある。札響の今後さらなる発展を祈念いたします。
スポンサーサイト



theme : クラシック
genre : 音楽

comment

Secre

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
12 | 2020/01 | 02
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター