FC2ブログ

【楽曲解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」

Wolfgang Amadeus Mozart
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~1791)


Streichquartett Nr. 17 B-dur, KV 458
弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 KV 458「狩」



 「ハイドン・セット」の前半(第14~16番)と後半(第17~19番)との間には、1年半近いブランクがあります。後半の3曲は、展開部とコーダの充実による大規模化、緩徐楽章の深い情感、対位法的な緻密さといった点で前半の3曲と区別され、これらの特徴はその最初の作品となった第17番にも明らかです。「狩」という愛称は、第1楽章の冒頭主題が狩猟時に用いる角笛の響きに似ていることから後世に付けられたものです。全曲の親しみやすい雰囲気や当時の聴衆の好みを意識したサービス精神に溢れた構成などから、「ハイドン・セット」の中で最もハイドン的な作品と言われています。
 「vivace assai(とても快活に)」という言葉の意味を余すところなく音楽で表現した第1楽章は、楽章全体を振り返り要約するような長大なコーダで閉じられます。第2楽章の優美なメヌエットを挟んで、モーツァルトの真面目で情熱的な特質が存分に発揮された深い感動を湛えた第3楽章が続きます。18世紀では「Adagio」という指示は速度よりも感情を表すものであり、それはモーツァルトにおいても同様でした。「ハイドン・セット」でアダージョが指定された緩徐楽章はこれが唯一で、「聖母マリアのためのリタニア」KV 195 (186d)の第5曲「Agnus Dei(神の子羊)」(この曲もAdagioと記されています)の動機が用いられています。ハイドン風の軽快さを持った第4楽章では、精緻な対位法が駆使された展開部の密度の高さが光りますが、同時にモーツァルトらしい疾走感が爽やかな余韻を残しつつ、全曲が締めくくられます。


シュペーテ弦楽四重奏団 第9回公演(2019年4月27, 29日)

スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Mozart,W.A. 演奏活動_DasSpäteQuartett

comment

Secre

No title

この曲ハイドンセットのなかで冒頭の主題が軽めで少し苦手でしたがやはり3楽章の深い内容に今回うたれました。日頃はながらで聞くことも多く表面的な聞き方をしていたと思います。近々、沢カルテットでこの曲を聞くのでこのあたり注目して聴けると思います。
プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
05 | 2019/06 | 07
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター