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カバレーフスキイのレクイエムなど

  • ショスタコーヴィチ:24の前奏曲 ネルセシャン (Pf)(Melodiya C10 23079 003 [LP])
  • カバレーフスキイ:交響曲第4番、プロコーフィエフ:祝典序曲「ヴォルガとドンの出会い」 カバレーフスキイ/レニングラードPO、サモスード/モスクワPO(Monitor MC 2007 [LP])
  • カバレーフスキイ:レクイエム レフコ (MS) ヴァライティス (Br) カバレーフスキイ/モスクワPO他(Melodiya C 0805-8 [LP])
  • カバレーフスキイ:バレエ「道化師」より、ヴァシレーンコ:中国組曲第1番、B. チャイコーフスキイ:弦楽のためのシンフォニエッタ、ヴラーソフ:ルーマニアの主題による狂詩曲 カバレーフスキイ/モスクワPO、ガーウク/モスクワ放送SO(Liberty SWL 15001 [LP])
  • フィッシャー:オーボエ協奏曲 Es-dur、ヴィヴァルディ:オーボエ協奏曲 a-moll、ルクレール:オーボエ協奏曲 C-dur、アルビノーニ:オーボエ協奏曲 d-moll ラルドロ (Ob) ベッチャー/ウィーン・ゾリステン(amadeo AVRS 19 044 St [LP])
  • C. シュターミッツ:フルート協奏曲 D-dur、リヒター:フルート協奏曲 e-moll、J. シュターミッツ:フルート協奏曲 G-dur リンデ (Fl) ウィーン・ゾリステン(Archiv 2533 085 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から6枚が届いた。

アナヒト・ネルセシャンはアルメニア出身の女性ピアニストで、1984年の録音当時はちょうど30歳の若手奏者だった。技巧に任せて弾き散らかすことが一切なく、どこか退廃を感じさせる落ち着いた抒情的な音楽が心地好い。曲によってはもっと切れ味の良さも求めたいところだが、全体として鈍重になることがない辺り、演奏者の若さがプラスに作用しているのかもしれない。


カバレーフスキイの交響曲第4番は1955~6年に作曲されているが、第2楽章の葬送行進曲風の音楽など、スターリン死後の雪解け期らしい雰囲気を湛えている。もっとも、ショスタコーヴィチが交響曲第10番を作曲したのは1953年であり、それから2年以上もかけてじっくりと社会情勢を見極めた後に“進歩的な”大曲を手掛ける辺り、いかにもカバレーフスキイらしいと言えるだろう。作風は保守的で、目新しい手法は一切用いられていない。音楽上の展開もごくありきたりで、時折聴こえる壮麗な響きにも心を動かされることはない。

併録はプロコーフィエフ最晩年の作品で、表題の通り、ヴォルガ・ドン運河の開通を記念したものである。交響曲第7番をはじめ、この時期のプロコーフィエフらしい響きや節回しに満ちているが、録音の悪さもあるのだろう、私にはこの作品の中に音楽的な論理を見出すことができず、どうしても駄作にしか聴こえない。天才が、その生涯を終えようという時期に、こんな作品を書かなければいけなかったのは、悲劇以外の何物でもない。


ショスタコーヴィチが交響曲第13番を作曲した1962年、カバレーフスキイが取り組んでいたのが“ファシズムとの闘いに倒れた人々を追悼する”「レクイエム」であった。もちろんこれは宗教曲の体裁とは全く無縁で、ロベルト・ロジデーストヴェンスキイの詩による大規模な声楽作品である。彼はエフトシェーンコなどと並ぶ反体制詩人として名を馳せていたらしく、ショスタコーヴィチの「バービィ・ヤール」とよく似た背景を持ちつつ、この問題作に対する体制派からの模範解答みたいな作品だったのかもしれない。実際、上述の交響曲に比べると、大袈裟な慟哭と土俗的で野生的な咆哮を児童合唱で覆い隠す典型的な社会主義リアリズムの音楽が思う存分に繰り広げられている。演奏にかかるコストを考えると本作品が今後演奏される機会は僅少であろうが、交響曲に聴かれる偽りの深刻さよりはこの陳腐さの方がはるかに楽しい。


今回は、カバレーフスキイ関連に収穫があった。彼の代表作である「道化師」の自作自演が収録されたアルバムは、ガーウクが指揮したその他の珍しい作品の方に惹かれる。これらの中では知名度の高い作品と言えるだろうボリース・チャイコーフスキイのシンフォニエッタは、基本的に保守的で抒情的な音楽ながらも繊細な和声や響きの現代的なセンスが傑出した佳曲。ヴァシレーンコの中国組曲は義和団事件を題材にした歌劇「太陽の子」からの抜粋らしいが、情緒の移ろいの美しさが印象的な作品である。ヴラーソフの作品は、“ルーマニア”と“狂詩曲”というキーワードから期待される要素が余すところなく盛り込まれた楽しい音楽。ガーウクの指揮は、どの曲も王道のロシア色で塗り潰している感は否めないが、それでもこれらの作品を知るには十分な水準の仕上がりとなっている。ちなみにカバレーフスキイの自作自演は、非常に良く整った演奏であるものの、コンドラーシンの有名な録音を超えるほどの出来ではない。


ウィーン・ゾリステンのアルバムは、今回も2枚を注文。まず一つは、後期バロックの作曲家によるオーボエ協奏曲集。現代ではピリオド楽器でしか演奏されることがない楽曲群と思われるが、闊達な、それでいて節度のある上品なモダン楽器の弦楽アンサンブルの奏でる響きは、学術的な評価は別にして、とにかく魅力的だ。

amadeo-avrs19 044st

もう一枚の初期古典派の作曲家によるフルート協奏曲集も同様。ただしこちらはアルヒーフ・レーベルということもあってか録音がとても明晰で、この団体の演奏スタイルともよく合っている。いずれも初めて聴く曲ばかりだが、リヒターの協奏曲などは極めて魅力的な作品で、強く惹かれた。

ちなみに、この音盤の録音は1971年。ピヒラー、メッツェル、バイエルレの3人はその前年にウィーン・アルバン・ベルクQを結成してアメリカで研鑽を積んでいる時期と思われるため、この録音には参加していない可能性が高い。この音盤を聴く限りは演奏内容に大きな変化は感じられないが、ウィーン・ゾリステンの編成は3-3-2-2-1なので、各パートの首席奏者3名の脱退はさぞかしダメージが大きかったことだろう。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Kabalevsky,D.B. 演奏家_DieWienerSolisten

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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