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NHK交響楽団第1911回定期公演

  • イツァーク~天才バイオリニストの歩み~ (2017 録画 [NHK ETV(2019.7.5)])
  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ヴァーインベルグ:交響曲第12番「ショスタコーヴィチの思い出に」 グルズマン (Vn) 下野竜也/NHK SO (2019.4.24 録画 [NHK ETV(2019.7.14)])
近年、その活動を耳にすることがなかったパールマンだが、ドキュランドへようこそで紹介されたアメリカのドキュメンタリーでごく最近の姿を見ることができた。てっきり年齢的な衰えで活動を縮小しているのだとばかり思い込んでいたが、演奏の鮮やかさに衰えは全く感じられなかった。そもそも彼は1945年生まれなので、まだ後期高齢者ですらない。

さて、このドキュメンタリーでは複数のテーマ(「ユダヤ人」「妻トビー」「障がい」「演奏家としてのキャリア」「近年の活動」)が扱われているが、それぞれに興味深い映像が盛り込まれており、たった45分の番組にもかかわらず極めて充実した内容となっている。楽器の表板の裏にヒトラーの名が書かれている場面などはかなりの衝撃ではあったが、私は専ら近年の演奏に目を奪われた。ヴァイオリニストに限らず、単一の楽器には物足りなくなって指揮者に転向する名奏者は少なくないが、パールマンは徹底してヴァイオリン一筋であるところが、私の好むところである。彼の演奏姿からは、いまだにヴァイオリンを弾く愉しさや悦びが溢れ出している。冒頭でアメリカ国歌を楽しそうに弾くパールマンを観ると、あぁヴァイオリンっていいな、と改めて思う。


NHK交響楽団第1911回定期公演は、その素晴らしいプログラムで私の知人も数多く足を運んだようだが(そのわりに、客席には空きが目立ったらしい……)、その様子がクラシック音楽館で放送された。この種の番組にマニアックな深い情報を求めるものではないが、とはいえ、明らかにマニアックな意図を持って組まれたプログラムを放送するのだから、もう少し深入りした解説があってもよかったように思う。少なくとも下野氏には語るだけの知識や思い入れがあっただろう。たとえば、ヴァイオリン協奏曲の第3楽章の作曲直前にヴァーインベルグの義父であったミホエリスの殺害事件があったこと、そしてそれはジダーノフ批判の時期であったことなど、互いの壮年期にそういう時代を共に過ごしたことを念頭において、あの交響曲を聴けば、どこかとりとめのない印象にも聴き手それぞれが意味付けをできたようにも思う。

交響曲の演奏は、非常に手堅く、隅々まで明晰に処理された立派なもの。分裂した躁鬱の表現にはもっと極端さがあってもよいとは思うが、実演はおろか録音でも聴かれることの稀な作品のライヴとして、不満は全くない。ヴァイオリン協奏曲の方は、まるで譜面台にかじりついているかのような独奏からは何も感じることができず(協奏曲の独奏で楽譜を見ること自体に違和感があるわけではない)、オーケストラも悪い意味での安全運転に終始した、ただただ凡庸な演奏。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Weinberg,M.

comment

Secre

No title

日頃TVづけというより録画づけの私もこれ見逃していました、また再放送期待したいところです。彼の最近の演奏ではジョン、ウイリアムスの番組でシンドラーのリストの独奏を聞いたくらい。それと大昔に大フィル定期でベートーベンのヴァイオリン協奏曲を弾いた彼を聞き逃しました。一見楽天的に見える音色の裏に隠されたものぜひ見たかった。

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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