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プラジャーク・クヮルテット ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 後期作品全曲ツィクルス(第1回)


プラジャーク・クヮルテット ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 後期作品全曲ツィクルス(第1回)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番
2022年6月8日(水) プラジャーク四重奏団 あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール

プラジャークQの名を私が初めて知ったのは、1986年のスメタナQ日本公演のプログラム冊子であった。東京での一公演のみで演奏されたメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲の共演者として、プロフィールが紹介されていたのだ。1972年に結成されているのだから、当時もそれなりにキャリアを重ねていたはずなのだが、そのプロフィールに載っていた写真が学生然とした、いかにも若手といった印象を与える物だったためか、引退間近のスメタナQを崇めて聴きに行った純朴な高校生の関心を惹くことはなかったのだ。

そんな刷り込みのせいか、結局、私が彼らの音盤を蒐集対象にすることはなかった。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲もPragaレーベルから2枚リリースされていたが、内1枚は同レーベルの活動停止に伴って入手出来ず終いでいる。他に彼らの音盤は架蔵していない。

さて、彼らの「世界最終公演」が日本で行われるということで、私にとっては最初で最後となるプラジャークQの実演を当日券にて聴いてきた。全3回のツィクルスの第1回を選んだのは、実演で聴く機会のなかった第16番目当てであり、もし演奏内容が気に入ったら残る2回も行ってみようという様子見でもあった。

ちなみに「最終公演」というのは、創立メンバーである第2Vnのホレクが演奏活動を引退するのに加えてVcのカニュカも退団することでメンバーが一新した「新生」プラジャークQを、それまでのプラジャークQとは異なる団体と認識することによる。公式ウェブサイトでは引き続きプラジャークQの名称が使われているし、Vaのクルソニュは引き続き在団しているし、ブダペストQやボロディーンQの例を出すまでもなく、創立メンバーが残っていないからといって団の歴史的な系譜が途切れたとは必ずしも言えないので、この宣伝文句には若干の疑問はある。

さらに、今回来日したメンバーでの「さよなら公演」は昨年末にプラハで行われていること、そのスケジュールはコロナ禍による再三の延期の結果であったこと、そして当然ながらこのメンバーによる演奏は「さよなら公演」以来かつ日本ツアー限定だったということを考えると、彼らにとってはむしろ「意図せざる延長戦」であっただろうことは想像に難くない。一人の演奏家が引退という決断をした背景には、やむを得ない肉体的な事情もあったことだろう。無理を押して先延ばしにした幕引きは、はたして彼らのキャリアに相応しいものであったのだろうか。

その問いに、私は肯定的な答えを返すことはできない。だからと言って、プロフェッショナルとして一度受けた仕事は何があろうとも……というゴルゴ13的な批判をするつもりもない。それもまた人生なのだ、と諭すように響く、美しくも苦い第16番の第3楽章が強く心を打った。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Beethoven,L.v.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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